2013年02月19日

上手さと何か? 経済学から考えるIIDX 「限界効用逓減とビートマニア」

最近証券アナリストの勉強始めたので、その知識を少しでも応用してみようとして書いてみます。
全体としては、ビートマニアの上手さとは何か?ということについて考えたいと思います。

第一回は、限界効用とビートマニアです

限界効用とはなんでしょうか?限界効用逓減の法則とはなんでしょうか?(知らんわ)

人は飽きっぽい ということです。

簡単に説明すると、

効用=うれしさ

のことで、
あるモノ(物でもサービスでも)が増加したときに、うれしさ(ありがたみ)がどれだけ増加するか?という値が限界効用です。
なんか数学みたいでよくわからないので、もっと簡単に言うと、

「ビールを飲むジョッキ数が1ジョッキ増えると、どれくらいハッピーか?」ということです。

考えてみて欲しいのですが、喉が渇いた暑い日に、最初の1杯目で飲むビールはとてもおいしいですよね?(おいしくなかったらコーラでも水でもなんでもいいですが)
1杯目でのうれしさを100としましょう。
では2杯目を飲んだ時のうれしさはどうでしょうか?酔いが回るという要因を考えなければ、普通は100よりもうれしさは下になります。
喉の渇きとか暑さが1杯目で軽減されているため、2杯目の方がありがたみが低いはずです
その調子で3杯目、4杯目はどうでしょうか?ビールはどんどんおいしく感じなくなるでしょう。

つまり、ビールの限界効用(ジョッキが増えたときのハッピーさの増加具合)は、
ビールを飲む量が増えるほど、減ることになります。

23114212_p1.png

図にするとこのようになります。a1の高さが1杯飲んだ時のハッピーさ(効用)、a2の高さが2杯飲んだときのハッピーさです。
0→1のときにはぐーんとハッピーが増加しますが、1→2ではその増加具合が小さくなっていることがわかります。
経済学では普通、全てのモノは、沢山あればあるほど、1つあたりの価値が下がっていくと考えます。
この法則のことを限界効用逓減の法則と言います。

これは直感的にかなり理解しやすいと思います。例をあげてみましょう。
おいしいリンゴを1個食べたとします。2個目は1個目よりおいしく感じるでしょうか?3個目は?4個目は?・・・もう飽きますね
お金についても限界効用逓減は働くと考えてよいでしょう。小学生の時、100円でも大金に感じたはずです。
お年玉の1万円札なんてそれはもう目が飛び出るような大金だったのではないでしょうか?
今ではPフリー粘着で1万円なんかすぐ飛んで行ってしまいますね?嫌な大人になりました。
小学生は持っているお金の総量が少ないので100円の増加でもすごーくうれしいわけです。
もしビルゲイツが100円貰ったとしても彼はちーっともうれしくないでしょう。
あればあるほど、1つ当たりの価値が下がる(逓減する)ことはなんとなく納得していただけたでしょうか?
(ここまではビートマニアとは関係ありませんでした)

で、ここからが問題なのですが、限界効用が逓減するとしたときに、
「合理的に判断すれば人はリスクを回避する」ことがわかります。
これも直感的に理解できるはずです。

あなたはあつーい夏のある日、自動販売機でコーラを買おうとしました。
どちらも100円でコーラを買えますが、片方の自販機Aでは必ず缶が1個出てきます(当たり前だ)
もう片方の自販機Bでは、50%の確率でコーラの缶が2本出てくるかわりに、50%の確率で何も出てきません(!!)
どちらであなたはコーラを買いますか?(確実に1本出てくる方に決まってます)

コーラの本数の期待値はどちらも1本です。しかし同じ期待値だからと言って、その効用(うれしさ)の期待値は一致しないのです。さっきの図を見てみましょう

23114212_p1.png

コーラが1本あるときのうれしさをa1、2本あるときのうれしさをa2とします。
今確実に1本出てくるとすると、あなたは100円でa1のうれしさを買ったことになります。
自販機Bのコーラを買ったとすると、0本の時には効用=0(何も得られない)であり、2本の時にはa2となります。
0とa1の間のうれしさの差の方が、a1とa2のうれしさの差よりも当然大きいはずですので(2本目のコーラなんか当たっても全然うれしくないでしょう)
自販機Bを選んだときの効用(うれしさ)の期待値(つまりa2÷2)はa1よりも下になります。

つまり、以上を踏まえて合理的に判断できる人なら、誰だって自販機Aでコーラを買うはずだ ということなのです。
これはつまり「同じ期待値ならば、よりリスクの小さい選択肢を選ぶ」(リスク回避型)ということを意味します。

ここでビートマニアの話に進みます(!?)

話を簡単にするために穴冥のスコアだけを考えます。
ある1回の穴冥プレイについて、穴冥のスコアが同じならその効用(上手さでも凄みでも何でもいいですがとりあえず効用と考えます)は同じと考えますか?
簡単に言うと、同じ3000点のスコア同士で優劣が存在するかどうか ということです。

経済学ではモノはモノです。1単位のモノには優劣は存在しません。リンゴが1個あるとすればそのリンゴは「リンゴ」でしかありません。
リンゴ1個の効用は常にリンゴ1個の効用です。

IIDXに戻ります。
例えば、インターネットランキングでは同じ点数なら(どっちが先に出したかは別として)同じ点数は同じ点数です。同じ点数であることには何かの優劣はありません。
公式大会でもそうです。点数が同じならそれは同じ点数だというだけです。(つまりスコアだけで決着が付くということです)
自己ベもそうですね。あなたの自己ベが3000点ということは自己ベストのスコアが3000点ということを意味するのであって、勝手に「この時出したスコアは初ハードの時のスコアで凄く思い入れがあるので自己ベは2950点です」ということはできません。
今後は、3000点のスコアに優劣は無い、同じ点数であればその効用は等しい、と考えます。

実は、3000点のスコアに本当に優劣が無いかどうかは分かりません。
運指が美しい3000点は運指が汚い3000点よりも優れた3000点かも知れません。
3000点を出すために血の滲むような努力をした結果、初めて出た3000点は、ランカーの捨てゲーで途中落ちした3000点よりも優れているかもしれません。
スコア同士の比較でもスコア以外の要素が加味される世界もあり得るということです。
その証拠にアングラランカー界の創設者である、かのゼクトバッシュ氏もこのように述べています。

─アングラ界の採点方式
ゴッドランカーのレベルに達すると通常のビートスコアでは互いが理論値を出してしまい勝敗がつかないことがある。
そのためアングラ界においては通常のスコア以外に「オーディエンスの熱気をいかに高めたか」という
「リアル・グループゲージ」も追加スコアとして加算される。
これらのトータルによって、甲・乙・丙のゴッドランキングを算出しているのである。


つまり、このリアル・グループゲージが存在する世界であれば、同じスコアのスコアでも効用が違うということになります。

今、私が考えようとしているのはビートマニアを経済学から考えるという世界であり、リアルグループゲージのような主観的で曖昧でオカルティックな指標は一旦無視することにします。
つまり「同じ点数なら同じ効用だ」という前提から出発したいと思います。

とすると、次の疑問は、「人はリスク回避的に行動する」が成立するか、
もっとダイレクトに言えば、
「冥が必ず3000点と分かっているのと、2999点か3001点か五分五分である状態では、前者の方が効用が大きいと言えるか?」について考えることになります。

冥のスコアが3000点である(A)と、冥のスコアが2999点か3001点かの50:50である(B)を考えます。
どちらもスコアの期待値は3000点になります。
これは普通のモノであればリスクを回避するAが選好されるという結論でした。

しかしビートマニアのスコアではどうでしょうか?
何も特殊な制限がない状態(つまり大会の決勝戦で3000点なら優勝できるが2999点だと負けてしまうというような状態は除く)を考えます。
これが3000点ではなく、
3556(=AAA)が必ず出せるのと、3555か3557のどっちかが50:50で出る という2択だったら普通は前者を選ぶでしょう、それはAAAかどうかの違いは、3556か3557の違いよりも大きいからだと説明できます。
一方でこれが3555点が必ず出せるのと、3554か3556のどっちかが出る という2択なら普通は後者を選びます。それもAAAかどうかの方が遥かに重要だからであります。
今はそうしたランクであるとか自己ベストというような状態を一旦無視することにしましょう。

では、
0点が1点になってもちっともうれしくありませんね?
1000点から1001点になっても全然うれしくありません。
しかし穴冥のスコアが3000点から3001点になるほうがうれしい(なぜなら1点の重みが段々効いてくるから)のではないでしょうか?
では3500から3501点ではどうでしょう?
3700点から3701点では?
突き詰めて考えたとき、3998点から3999点になる効用、3999点から4000点になる効用を考えたとき、
1点当たりのうれしさは、点数が増えれば増えるほど大きくなることがわかります。
つまり、これは限界効用がどんどん増える(限界効用逓増)状態、普通のモノとは逆の状態を意味します。

23114212_p2.png

さっきの例ではリスクを取って平均を取ると、安定を取るよりも効用の期待値が下がるのでリスクを回避するのが正解でしたが、
こっちではスコアが下がるリスクを負ってもスコア向上を目指すほうが効用の期待値が大きくなるので、

「ビートマニアにおいては同じスコアの期待値なら、よりリスクを取る方が合理的である」ということ結論を導くことが出来ました。
考えてみればこれはまぁ普通のことで、正規がそこそこ当たり譜面だとしても、俺達は日常、ハズレを引くリスクを承知でランダムでプレイし、いつも自己ベ更新を狙っています。

同じスコアの平均点を持つなら、分散が高い(スコアのブレが激しい)方が、自己ベは高くなります。
毎回3000点しか出せない人と、3500点か2500点か、どっちかしか出せない(分散が高い)人では何回かプレイした結果としては後者の方が当然自己ベストは高くなりますね?

つまり限界効用が逓増し、自己ベを追い求める限りではなるべくリスクを取ることが効用を増加させることになります。「ビーマーはギャンブラーだった」ということになります。

しかしスコアが一発勝負で決着する大会ではどうでしょうか?
さきほどの例で言うと、
3000点を必ず出す人と、3500点か2500点しか出せない人、どちらが勝つかは五分五分になります。
自己ベは3000点と3500点で500点の差が付いて後者が有利ですが、大会では全くの互角になるのです(!)

これが、自己ベが低い側が下克上することがしばしばある原因なのではないでしょうか?

次回は、 スコアの分布から考える上手さ について書きたいと思います。

追記
多分現実のビートマニアの効用関数はかなり不連続で、AランクとAAランクのボーダー、AAランクとAAAランクのボーダー、全国トップ前後の1点でかなり効用が飛ぶはずです

不連続な効用関数.png

簡単にいうとこんな感じ?
効用関数がいびつなのでかならず分散が大きい方が上とは言えないのでしょう
posted by ロボたいしょう at 23:42 | Comment(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: