2016年05月23日

科学哲学への招待、読みました(前編)



科学史概説みたいな本だった。
良くまとまっていると思う

前編はアリストテレスの克服について書く。



内容は本の私的まとめ。

1.古代ギリシャでは万学の祖、アリストテレスの世界観が作られた。

万物の根源を水に求めたタレス、ヘラクレイトスの火、エンペドクレスの四元素、数に求めたピタゴラスetc...
それらをすべて統合したのがアリストテレスの世界観。
アリストテレスのすごいところは、なんとなく人間が思いつくような説明(実験を伴わない説明)
のおそらくすべてが、彼によってすべて説明されつくしているところだと思う。
そもそもガリレオ以前には、科学(自然哲学)を実験で証明すべきということ自体だれも思いつかなかった。

逆に言えば、実験や検証をせずに、アリストテレスよりも優れた理論を思いつくことは不可能だと思う。
そういう意味で、彼は万学の祖。
すべての研究者はアリストテレスの説明を(実験的・科学的手法で)越えなければいけない。


アリストテレスの世界観の例
Q:なぜりんごは落ちるけど月は落ちてこないのか?
A:
りんごは元々木から生えてきたものであり、地の元素を持っている。そのため、りんごを自由な状態にしてやると、地に帰ろうとする性質が働いて、地面に落ちる。
鉄と、羽では、鉄のほうがより多くの地の元素を持っているため、早く落ちる。つまり、重いものは地の元素をたくさん持っているので、早く落ちる。
一方で天の万物は地のものと異なる聖なる元素(エーテル)でできており落ちてこない。天はすべて美しいので円運動をしており、地上のものは落下するが天のものは落下しない。


<<アリストテレスの世界観の矛盾点とその克服>>
惑星・・・他の星とは違って、地球から見ると動きが一方向ではなく逆行して見える
の存在がわかっていたため、完全な円運動では説明できなかったが、
特に天動説はその後、プトレマイオスによって円の上で円が動くという説明で、
日食や天体の動きなどをほぼ完璧に説明できるようになった。

<<ローマ帝国の崩壊で文明が失われる、アラビアから再度輸入された、古代ギリシャの知識>>
例:アラビア数字 1,2,3,4...
例:時間の60進法

キリスト教の協議と反するところもあったが、トマス=アクィナスによってキリスト神学と統合され、スコラ学が誕生した。



2.科学革命によるアリストテレス世界観の崩壊

2-1.天の物体の議論と地動説の発見
コペルニクス、ケプラー

天動説は、まぁまぁ頑張って天体の運動を予想することができていた(ここ重要)
しかし、計算がクソほど煩雑で、ぜんぜん美しくないよねと思っていた人がコペルニクス。
本当に美しい円の動きをしてないのはおかしいよ!と考え、太陽を中心に地球が円運動をしていると考えた。
コペルニクスの理論で天体の動きを計算するのは天動説で計算するよりも簡単で正確だったため(ここ重要)受け入れられた。

ケプラー 別に円じゃなくていいよね、実は楕円だよねということに気づいた人。
→円は美しい!という呪縛から解き放たれた。


2-2.地上の物体の議論
ガリレオ「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」

物体の持つ性質のうち、大きさ、重さ、速さといった客観的な性質(一次性質)と、
匂い・色・音・味といった人間の五感を通して得られる性質(二次性質)を分けて考え、
とりわけ一次性質について考えることが、科学の役割であると考えた。

「ピサの斜塔の実験」
"重いものは早く落ちる"という常識を否定したとされる。

実際には、次のような「思考実験」で説明した。
重い玉と軽い玉を紐で結んで、落とす。
紐で結ばれた2つの玉は、明らかにばらばらの玉よりも重いはずなので、一番早く落ちるはずだが、
直感でも明らかなように、この連結された玉は、2つの玉の中間の速さでしか落ちない。
よって重いもののほうが早く落ちるというのは誤りである。

「斜面に鉛球を転がす実験」
実際に落下させて時間を計測するのは困難であるため、(摩擦が生じないように)滑らかな斜面に重い鉛球を転がすことで、
物体の運動の性質を示そうとした。それによって慣性の法則が発見された。
→実験室の中で、理想的な状態を作り、現実には起きない科学的法則を発見することができた。

ガリレオによって、アリストテレス以来の地上の物体に関する説明は破られ、物体の動きは数式によって記述されるようになった、
さらに、「思考実験」と「実際の実験」によって、常識を覆し、理論の正しさを証明するといった、
科学の発見に極めて重要なやり方が生まれた。

2-3.天と地の統合
ニュートン
「万有引力の発見」
なぜりんごは落ちて月はおちないのか?
りんごが落ちないのは万有引力で地球に引かれるから。
月が落ちないのは月は超高速で地球の周りを飛んでおり、地球から離れる力と地球に引かれる力がたまたま釣り合っているから。
りんごを超高速で投げたら、地球の周りを回る人工衛星になる。

しかも物体のすべての運動は、座標と初速がわかれば計算で求められるよ
「微分方程式」(運動方程式)の発見

→天の運動と地の運動を完全に同じ法則で説明した。


3.自然観の転換

アリストテレス・・・世界はひとつの大きな有機物
人間は、肉体という単なるモノに、霊魂という「実体形相」が宿ることで、生命になる。
実体形相というもので意味が説明される。

科学の発想・・・モノはモノ
ガリレオ・・・一次性質と二次性質の区別

更に進んで、
デカルト(数学の座標の概念を発案した人)・・・「物心二元論」
「我思う故に我あり」・・・ね、精神というのは物体とは関係なく確かに存在しているでしょ?
「物体は座標を占める」・・・どんなものでも、大きさがあるという性質だけは疑いようがないでしょ
つまり、この世界は、思考する精神と、大きさを持ち運動法則に従う物体の2つで構成されている。
(大きさ以外の色・匂い・味などを考えない、聖なる、とかの霊的な性質も考えない、大きさを持たない物体(霊魂)についても考えない=気のせいだよ、ということ)
デカルトは、宇宙は、神が創った壮大な機械のようなものだと考えた。

脳科学の発展・・・「物質一元論(唯物論)」
精神って、結局脳みその化学変化でしょ?
物質にだけ着目すれば全部わかるんじゃないの?
という考え。

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アリストテレスはマジですごいと思っている。
伊達に万学の祖と呼ばれてないと思う。
りんごはなぜ地面に落ちるのか、それは地の元素で出来ているからだよ・・・
なんて説明としては大変クールでしょ。

でも、それを実験などで破っていった初期の科学者もすごい。
地動説のコペルニクス・ケプラーもすごいが、
科学=実験という構図を持ち込んだガリレオがすごい。
ピサの斜塔実験よりも、思考実験の方が納得感が高いのもまたすごい。

ニュートンは言わずもがな、物理学と数学の歴史に欠かせない大偉人だ。
英語サイトで、World Greatest Scientist(歴史上最高の科学者)で検索すると、
ランキングの1位は大体ニュートンだ。(2位はアインシュタイン)
やっぱりすごい。

天の物体と地の物体は、別々のものとして考えられていたのに、ニュートンはそれをまとめて1つの力学の中で説明した。
りんごと月は別のものだから落ちてこないのではなく、ただ初速が違うという理由で月は落ちてこないのだ。
そして初速さえ与えられれば、物体の動きは微分方程式で完全に記述することが出来る。

ニュートンの発見を理解するため、高校の数学は行われている。
微分・積分を通して、微分方程式を解けるようになって、はじめてニュートンの発見を理解することが出来る。高校数学・高校物理の到達点は、ニュートンだ。


しかし後編では、一見完璧に思えた科学の発見が覆されて・・・
という話をまとめます。
posted by ロボたいしょう at 19:48 | Comment(0) | 読書・書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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