2018年07月19日

【予備論文H30】刑事訴訟法 再現答案

第1 設問1
 1 1の適法性について
1の行為は強制捜査にあたり違法ではないか。強制捜査とは、身体・住居・財産といった重要な権利・利益に制約を加えて捜査を行うことである。また強制捜査に当たらない任意捜査であっても、権利・利益を侵害するおそれがあるため、その捜査の必要性および緊急性と侵害される権利を比較し、相当性が認められる場合にのみ任意捜査として適法となる。
本問において、PとQは凶器を使用した強盗などの凶悪な犯罪が多発しているJ町を警らしていた。午前三時という深夜の時間に甲と目が合うや、急に慌てた様子で逃げ出している。このことから甲は何かしらの犯罪に関係しているという疑いを、PとQが持つのはもっともだと言える。甲のシャツは不自然に膨らんでおり、服の下に何かを隠していることが疑われる。また甲が自らPとQを押しのけて歩き出そうとしたときに、甲の腹部がPの右手に触れた際、固いものが触れた感覚があった。これらの事情から、甲は何かしらの凶器を持っている可能性が十分あり、行為1の捜査を行うための必要性および緊急性は十分に高かったと言える。ここで行為1については服の上からへそ付近を触るというものであり、身体という権利を侵害するものではない。よって強制捜査には当たらない。また任意捜査としても身体という権利の侵害はそれほど大きなものではない。よってその必要性と緊急性と比較すると、十分な相当性が認められると言える。したがって行為1は適法である。
 2 2の適法性について
   行為2についても上記と同様の規範で適法性を判断する。本問において、Pはペンケース程度の大きさのものが入っている感触を感じており、当初の目的であった凶器を使用した犯罪とは無関係なものである可能性が高いと感じた。しかし規制薬物等に関わる物を持っている可能性があると考え、嫌がる甲を羽交い絞めにし、シャツの中に手を差し入れて物を取り出している。これは身体という権利への明らかな侵害であり、強制捜査にあたる。よって行為2は違法である。


第2 設問2
 本件覚せい剤の証拠能力は認められない。以下に理由を述べる。思うに、違法捜査によって得られた証拠には証拠能力が認められないのが原則である。なぜなら証拠能力を認めないことによって違法捜査を抑制することが可能になるからである。一方で覚せい剤取締法は最大で懲役10年となる重大な犯罪であり、また覚せい剤は処分が容易であることからその場で証拠を押さえる必要性が高く、証拠能力を認めるべきであるとも考えられる。両者のバランスを取る必要がある。
 本問において、本件覚せい剤は行為2という違法捜査によって得られたものである。行為2を行う時点では、甲は凶器を持っている可能性は低いとPらは感じており、甲が何らかの犯罪をしている可能性が高かったとは言えない。加えて甲は薬物中毒の目つきや言動、注射跡が見られたわけではなく、ただちに逮捕しなければ他者に危害を加える可能性が高いというような緊急の状況でもなかった。そのような状況下で強制捜査を行ったのは極めて深刻な違法捜査であり、このような違法捜査によって得られた証拠の証拠能力を認めてしまえば、怪しければ違法捜査を行ってもよいという風潮を招いてしまうことになる。よって本件覚せい剤について証拠能力は認められない。
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【予備論文H30】刑法 再現答案

第1 甲の罪責について
 1 定期預金を払戻した行為について刑法(以下略)246条1項の詐欺罪が成立しないか。
   「人を欺いて財物を交付させた者」は詐欺罪が成立する。本問において、甲はCに対し、「届出印を持っているものの証書を紛失した」と嘘の話をしてCを欺き、現金500万円の払戻しを受けたことでCに財物を交付させている。しかし甲の定期預金は甲によって甲の名義でなされたものであり、銀行との間では甲の所有物であることに違いはない。よって甲に詐欺罪は成立しない。
 2 現金500万円を乙に渡した行為について横領罪(252条1項)が成立しないか。
   「自己の占有する他人の物を横領した者」には横領罪が成立する。本問において、甲とVとの間では投資会社による投資のみに充てることを約束した上で、Vは甲に500万円を渡している。投資に充てるまでの間は甲名義の定期預金に預け入れた上で証書をVが保管するとの約束になっていた。このことから、定期預金の500万円は投資会社が出来るまでの間は実質的にVの所有物であり、甲は名義上、占有していたに過ぎないと言える。その500万円をVの了承無しに、私的な借金の返済のために乙に渡した行為は、横領にあたると言える。よって横領罪が成立する。
 3 Vを脅して念書を作成させた行為について強盗罪(236条2項)の共同正犯が成立しないか。
   強盗罪の共同正犯が成立する。乙の罪責で検討する。
 4 乙が10万円を抜き取った行為について強盗罪の共同正犯が成立しないか。
   成立しない。乙の罪責で検討する。

第2 乙の罪責について
 1 念書を作成させた行為について強盗罪(236条2項)の共同正犯が成立しないか。
「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪」となる、また「前項の方法により、財産上不法の利益を得」た者も強盗となる。強盗の要件として、暴行又は脅迫については「相手の反抗を抑圧するに足る程度」のものであることが必要である。また、「二人以上共同して犯罪を実行した者はすべて正犯」となる(60条)。共同して犯罪を実行したというためには、@共謀、A共謀に基づく実行行為が必要である。
本問において、甲が用意したサバイバルナイフを持って、Vの目の前に示しながら念書の作成を強要している。加えて念書の作成を拒否するVに対し、乙はVの胸倉をつかんでVの喉元にサバイバルナイフの刃先を突き付けている。Vはこのままでは本当に刺し殺されてしまうのではないかとの恐怖を感じ、甲らの要求に従っている。ナイフを突きつけている行為は反抗を抑圧するに足る程度のものだったと言える。また投資のみに充てることを確認して預かった500万円があるにもかかわらず、使い込んだ上で、債権債務関係はないという念書を作成させ甲が受け取った行為は財産上不法の利益を得たと言える。
加えて、甲と乙は、V方に押し掛け、Vを刃物で脅して、甲とVとの間に債権債務関係はないという内容の念書を作成させることを合意している。脅すだけで手を出さないでくれと甲は発言しているものの、サバイバルナイフという凶器を用意していることから、この発言には強盗についての事前の共謀があったと言える。実際にその後刃物でVを脅し、念書を作成させていることから、共謀に基づく実行行為もあったといえる。よって甲と乙は強盗罪の共同正犯となる。
 2 10万円を抜き取った行為について強盗罪(236条1項)が成立しないか。
   上記と同じ規範で強盗罪の成立を検討する。本問において、乙は恐怖のあまり身動きできないでいるVの目の前で財布から現金10万円を抜き取っている。抜き取った際には暴行や脅迫をしていないことから、強盗罪が成立するかどうかが問題となる。思うに、甲と乙は先行してサバイバルナイフを突き付けたことによって、Vは反抗が抑圧された状態となっているのである。立ち去った直後、反抗の抑圧が解消されないうちに乙は再びV方内に入り、抑圧された状態に乗じて現金を抜き去っている。Vは抵抗出来ないほどの恐怖を覚えて現金の抜き取りを黙認せざるを得なかったのであり、乙はその状態を解消すべき立場にあるのにそれを利用して犯行に及んでいる。このことは実質的に強盗罪の構成要件にあたると言える。よって強盗罪が成立する。
   一方で、甲の共同正犯は成立しない。以下に根拠を述べる。本問において、甲と乙との間では念書の作成についての共謀はあったが、現金を奪うことについての共謀は無く、射程に無いことが挙げられる。また一度乙が「迷惑料の10万円も払わせよう」と言った際に甲は「もうやめよう、手は出さないでくれと言ったはずだ」と言って乙を止めている。その後乙の手を引いてV方から外へ連れ出して、乙に渡したナイフを回収していることから、もはや甲はその後の乙の犯行と因果関係が無い状態となっており、共犯関係から離脱していると言える。よって共同正犯は成立しない。

第3 結論
 1 甲の罪責
   横領罪と強盗罪が成立し、併合罪(45条前段)となる。強盗罪は乙との間で共同正犯となる。
 2 乙の罪責
   強盗罪と強盗罪が成立し、両者は併合罪となる。前者の強盗罪は甲との間で共同正犯となる。

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【予備論文H30】行政法 再現答案

第1 設問1
 1 本件勧告について
(1) 想定されるY県の反論
 勧告には強制力がないため、行政事件訴訟法第3条2項「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当しない。
(2) Xの主張
 勧告に従わない場合は生活条例50条に基づいてその旨を公表される。公表という間接的な方法ではあるものの、公表を受けると営業が困難になることから、これは強制力を有していると考えられ、勧告は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であると言える。
2 本件公表について
(1) 想定されるY県の反論
 公表を行ったとしてもあくまでそれは消費者への注意喚起であり、それ以降罰則を与えるなどの制裁を科する規定は存在しない。したがって公表にも強制力はなく、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」には該当しない。
(2) Xの主張
 公表を受けることで、事業運営が著しく困難になることや、多くの企業が借入を行ってビジネスを行う中で融資先の金融機関から融資を停止されるという恐れが生じる。公表を受けて信用が失墜すれば事業継続は困難となる。よって公表は実質的に強制力のある行為であり、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であると言える。
第2 設問2
 1 Xの主張について
   条例49条に基づく意見陳述を、Y県は正しく受け入れるべきである。
 2 Y県の反論
   Xの意見陳述は考慮したものの、実態調査の結果、「水道水に含まれている化学物質は健康に有害である」「今月のノルマが達成できないと会社を首になる」といった営業行為を繰り返していることが判明している。これらの発言はX社が常習的に条例25条の四、「消費者を心理的に不安な状態」にする方法、ないし「消費者に迷惑を覚えさせるような方法」で契約を勧誘していることを示唆している、もしくはそのような勧誘を黙認していることをうかがわせるものである。よって、48条「事業者が第25条の規定に違反した場合において」に従い、今後の営業活動でも25条に違反し消費者の利益が害される可能性の高いX社に当該違反の是正を勧告するものである。
 3 Xの再反論
   今後の営業活動で消費者の利益が害される恐れはない。まずYの調査で判明した、不適切な勧誘行為であるが、これはあくまで「Xの従業員の一部」についてであり、会社としてそのような勧誘行為を行っているわけではない。また発言アについては、水道水に含まれる物質が健康に有害でないとは言い切れない面がある。加えて発言イについてもこの発言が消費者に迷惑を覚えさせるかについては人それぞれの感じ方の面がある。そのような中で、意見陳述においてBのように今後は適正な勧誘をするよう従業員に指導教育を行っている中で、48条のような勧告を行うことは、消費者の利益が害されるおそれがない中での勧告となり、違法であるといえる。
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【予備論文H30】憲法 再現答案

第1 設問
1 Xの主張
 Xは処分1と処分2について違憲であると主張する。まず処分1について憲法19条(以下略)の思想及び良心の自由に反している。違憲である処分1に従わないことを理由に処分2を科すことは違憲である。加えて処分2自体も、21条で保障される集会・結社の自由に反しているため、処分2は違憲である。
2 想定されるA市議会の反論
 憲法19条で保護される思想及び良心の自由は、国民の権利であることから、13条に基づいて公共の福祉に反しない限りで最大の尊重が必要となる。つまり公共の福祉という最小限の制約を受ける。処分1はDへの侮辱の謝罪という意味で合理性のあるものであるから、処分1は違憲とはならない。加えて処分2についても、21条は直接に議員活動の自由を保障するものではないため、処分2が違憲であるとは言えない。したがって処分2も合憲である。
3 私の見解
 処分1は合憲、処分2は違憲であると考える。以下に理由を述べる。本問において、XはA市議会の文教委員会の委員を務めていた。XはA市教委が教科書を採択する過程で、ある市議会議員が採択に関与をした疑いがあるとの情報を、新聞記者Cから入手した。これらの事情は、Xは当然に関与について調査すべき立場にあったと言える。またXとCは調査と取材によってDが圧力を掛けていたと疑うに足る証拠を得ており、本件発言をするに十分な根拠があったと言える。
 しかし、その後、Dが圧力を掛けたという疑いは誤りであることが判明し、Cは訂正報道を行っている。ここでXは陳謝文の朗読の懲罰を受けているが、これは単に事実の誤りを認め、Dに謝罪する程度の意味しか持たないため、19条という思想及び良心の自由に反しているとまでは言えない。よって処分1は違憲とは言えない。
 その後A市議会はXの除名処分を決定している。この件については地方自治法の所定の手続きを経ていることや、確かに処分1に従わないことは議会に対する侮辱となる面があることから、この処分には一定の正当性があるとも言える。しかし、Xも市民の代表として選挙で選ばれた身分であることから、その身分を奪うことは、慎重に判断すべきであると言える。そう考えると、処分2は一定の正当性があるものの、議会に従わない議員に罰を与えるという目的に対して除名という手段が重すぎると言える。よって処分2は議員の活動の自由を間接的に保障する憲法21条に反して違憲である。
posted by ロボたいしょう at 22:28 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

予備試験 短答式試験結果

まだアップしてなかったので記念にアップしておきます。
  • 20180719222156263.jpg
posted by ロボたいしょう at 22:22 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする